『川はゾウ』:1999/7/6 『取水』:1999/9/18 『今年は』:2000/1/4 『幸せのめぐりあわせ』:2000/5/25 『武庫川の上流へ』:2001/3/1
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あらら、なんと前回から足掛け３ヶ月だ。
時間はゆっくり進むということを知らない。
時間の進み方は、「ふつう」か「はやい」か「めちゃはやい」のどれかだ。
本人(私の事)が、ほかのコトに手を取られている間も、
ヤツ(時の事)は、ほかのコトにわずらわされる事も無く突き進んでいくのだ。
さっき新緑に感動していたのに、今や梅雨。しかも豪雨。
きっと、このレポートをアップする頃には、梅雨明け宣言がでているに違いない。
もしかしたら、夏の終わりのツクツクボウシの鳴き声が聞こえているかもしれない。
な〜んで、こんなに時間が早くなっているかといえば、それはわたくしが
年をとっているからなのだ。（つまりもう若くないのさね）
年をとれば、時間がやたらに早くなると、昔から人に聞いていたけど、
それは、本当だね。
「ゾウの時間とネズミの時間」という本をちょっと読んだ事があるけど、
ゾウがハァッ〜とため息をつく間に、ネズミは一世代すすんでいる、なんてことが
書いてあったようななかったような。
ということは、人は年をとるにつれてデカくなって行くという事だ。
見かけはちっとも成長していないけど、けど絶対大きくなっていっているのだ。
だから、老人が「あっち向いてこっち向く」あいだに、子供が青年に成長する。
「ゾウの時間とネズミの時間」というワケだ。
もはや私はスターウォーズのヨーダのごとし。
ジュラ紀の恐竜のごとし。
でもって、ここに川がある。
この前の連日の大雨で川底の様子がちょっと変わった。川は時々ちょっと変わる。
でもこの川は、「武庫川」と名前がつく前から、ここをだいたいこんなふうに流れていたと思う。
この川が、「ふう」と一息ついて姿勢の重心を右足から左足にぐっと変えたりしてる間に
人間の世代がいくつか交代する、のかもしれない。
この川の前では、いま若いとか年寄りとかうだうだ言っている私の、盛衰というか生死というか、そーゆーものがあっという間に移り変わるのかもしれない。
スケールがあるのだ。
それぞれの。
きょう、私のスケールのメモリがひとつすすみました。
きょうは私の誕生日。
9月初め、特にすごい日照りが続いたわけでもないのに、
急に川が干上がった。
写真で紹介したように広々した砂丘がひろがってしまい、
一部に残った水溜まりでは、ウジャウジャいるはずの小魚はサギの餌になって、
体中つつかれ満身創痍となった中型魚と、背びれまで浸かれない大型魚だけに。
大きな魚の群れに驚きながらも、
この数日の水位の減り方を考えると、明日一日がいいところ。３日めには
この水溜まりも消滅か．．．．．．、と暗い気持ちでカメラをいじっていた。
そこへ、対岸から、干上がった川底をとことこと歩いてきたおじさんが一人。
おじさん いやー減りましたなぁ（水が）
私 はぁ。急にねぇ。心配ですワ。雨が降ってくれんと．．．
おじさん いやー、上（上流）に青野ダムと○○○ダムがあるからねー
２つのダムがちょっと水流したら、いっぺんですワ
私 ．．．（ふーん、そうゆうもんかなぁ。この人どういう人？）．．．
私 なんで急に水が減ったんでしょうかねー。この２,３日ものすごい急にへりましたよ
このでっかい魚こんなにいっぱい、それほどもたないでしょう？おじさん いや、ま、ダムの水をね、ながしたらエエんです。
あんね、
そのついソコにまーるいコンクリ（−ト）があったでしょう。
あれ、六樋ゆうてね、この辺の村が６つ集まって、
あっこから水取っとるんですワ
あそこのなかはユンボが入って仕事できるほど大きいてね、 そこへグワーっと水がはいっていくようになっとる
私 エエッ？、そうするとこの頃、急に水がへったと思たら．．．
おじさん それにアンタ、ついそこの上(かみ）の橋のたもとには、西宮の太閤樋ゆうてね、
太閤ハンがつくったとかなんとかで、西宮市はそこから水取っとる。
私 はぁー
おじさん そのさらに上には宝塚のホレ、市役所のそばのあたりで、宝塚市がアンタ、
取水しとるがな。
私 ．．．んハァー．．．．なんのために？
おじさん そーら、農業用水（に決まっとるやないか、わかっとらんやっちゃな）！」
干上がるとあちこちに顔を出すコンクリート。
おじさんのいう丸いコンクリート（鉄板でしっかりとふたがされている）はしょっちゅう見てた。
−−−−−
武庫川。
見かけは（そりゃ堰堤はいっぱいあるけど）結構自然が残っていて、
魚や鳥や虫やらの動物、さまざまの植物をふところにぐぐっと守っている、
人がいっぱいきてゴミを流したり、コンクリートを流し固めたりしてるけど、
それでも、武庫川は自然の子だ、
元気で気ままにごうごうと濁流を流したり、ちょろちょろとぬるい水を流したりしてる、
その水流、水量は丹波の山奥からの自然のものだと思っていた。
そう思っていた私はあまかったのかな。
武庫川が、流れの途中あちこちで献血しているなんて知らなかった。
空っぽになるまで提供しているのだ。
ちょっと、体中にチューブをつなげられた入院患者を想像してしまうけど、
患者はチューブから栄養を補給しているのに対し、
武庫川はチューブから吸い取られているのだ。
吸い取っているのは人間だ。ちゅーちゅー。
うーん。
人間も生き物だから、ほかの生き物と同じように武庫川に頼っている、
そのことに必要以上の罪悪感はいらないかもしれない。
でも、その依存関係を知らなかったのは、よくないね。
人間は川の水を汚すばかりだと思っていたけど、
汚す以前のもっと根本からちょっかいを出していたんだ。
知っていた人は、いまさら、とお思いでしょうが、
私は知らなかったので、今ちょっと立ち止まってしまいました。
新年あけましておめでとうございます。
2000年ということで世は騒がしくしておりましたが、
武庫川はどこ吹く風とばかり、
水と風と沢山の生き物を懐に悠々と茫洋といつも通り。
（でも水はすごく減っているけど）。
昨年は更新をさぼりました。今までになく長期間サボりました。
毎朝の武庫川散歩は欠かしませんが、正直にいってこのごろどうも感動に欠ける。
以前は季節の色彩にときめき、移ろいに驚き、草木や生き物の命の営みに感激していたのです。
幼いときの記憶にあるような水辺の土、水草の泥地や深い淵、急に飛び立つ白鷺。流れをさかのぼる鯉。
しかし、それが２０年前というなら分かるけどつい３、４年ほど前なのに。
「美人は３日で飽きる」というしなぁ、とも思ってみました。
「感動は持続できない」ということかなぁ。
けれど、、、
つい３年前に私が感動した場所は今はほどんど残っていません。
ほんの３年の間に武庫川はすごく変わりました。
このＨＰの『武庫川の風景』にある景色で今はもう見られないものも多いのです。
もちろん豪雨や台風でも変化したけれどね、
なにより、地震以来の工事に次ぐ工事で、すっかり変わってしまった。
もともと武庫川は（このあたりの下流域では）昔から人間にいじくりまわされていたと言える。
豪雨などでえぐられた川底に、きっちり敷き詰められたブロックが顔を出していたり、
一段高い川原に神戸工業用水と刻まれたマンホールのふたがあったり
でも、それら人工物もそこそこ風化して自然に隠蔽され、久しぶりに見た私の目には武庫川はものすごく懐かしく映った。
あれからずっと続いているいろんな工事。
工事が終わると、そこはのっぺりした面白味のないものに変わる。
工事がすべて無意味なものとは思わないけど、工事というものは本当に無惨だ。
そこには命の香りがない。だから季節がない。だからまったく感動がない。
今年は、工事の後、自然がゆっくりと自力を回復していく様をみたいものだと思っています。
散歩の途中で、「拾って帰る」ことがときどきあります。
だいぶ前に、大きな二枚貝の化石（直径１５センチくらい）をみつけました（今は文太小屋の物入れに）。
工事現場跡のベニヤ板を拝借したことも（これも文太小屋の床になった）。
一時期、庭土の改良を思い立って、川原の砂を毎朝リュックに詰めて帰ったこともあります。
水辺の近くでは信じられないほどきれいな砂がありますからね。
２週間ほどしか続かなかったけどまた挑戦したい（重いんだわー）。
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これら、数々のお持ち帰りモノの中でも一番成功したなぁ、と実感してるのはクローバーです。
動物愛護センター近くの川原が意味もなく整備されて、それまでの植生が一変した翌春、
掘り起こされて平らかになった川原におずおずと芽を出した野草たち。
どの草もかつての群生時の勢いはなく、けなげに一株だけ、精一杯の芽吹きがぽつぽつとみられました。
クローバーの単独株もその中にあって、小さくてもちゃーんと三つの葉を広げているのが実にかわいらしかった。
私はそれらの中でも執念深く目を光らせ、特に四つ葉のある株だけを選んで掘り起こし、
持ち帰ったのでした（ヤなやつだね）。
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「四つ葉のクローバー」なんていい響きの言葉でしょう！。
昔々、おさな心に特別な夢と希望を与えてくれた、幸せを約束する四つ葉のクローバー！！。
学校の帰りに道端にしゃがみ込んで真剣にヒッシに探したもんです。
その甲斐あって私は、近視でありながら、四つ葉探しには特殊な能力が発揮されるようになりました。
能力は開発されたけど幸せが降りそそいだかどうかは未だにはっきりしない。
しかしまだ人生は長いからこれまでに見つけた四つ葉の恩恵に被るのはこれからかもしれない．．．．。
ま、それはともかく、幼少時つちかった四つ葉探しの眼力を
この年になってこの武庫川の川原で最大限発揮し、
四つ葉株を数株持ちかえりました。
玄関先のやせた地にどうにかこうにか植え付けた。それが去年のこと。．．．
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さあ、そして今年です。
いま、うちの玄関あたりは、緑のクローバーがいっぱい！。
すっごいきれいな緑が元気いっぱい広がっています。
白爪草（実際は草じゃなくて花です）が点々と咲いて、キレイキレイ。
ヘタに芝生を植えるよりずっといいです。
そ、し、て、もちろん！葉っぱの２割くらいはそう！四つ葉なのですっ！。
いま、私は自分ちの庭で思いっきり四つ葉のクローバー探しができるのです。あー幸せ。
もしかして、
あの幼い頃探し出した沢山の四つ葉のクローバーがもたらしてくれた幸せって、
この自分ちで思い切り四つ葉探しができる幸せなのかも？。
うーん考えると頭がぐるぐるしてくるなぁ。
それってどういうしくみかなぁー何かすごくうまくできているような、
これがあの自然の摂理ってやつかぁ。？
ま、そんなことをふと考えた今日でした。
当初、毎週の更新を前提にこのレポートを始めたのに、毎月どころか毎季も危うくなろうかとしています。この｢武庫川散歩｣も足掛け６年目に入って、いわゆる老舗の時間感覚となってきたか？（えらそうに！）。いったい更新はどうなっているのか！。いったいどうするつもりなのか！？。はっきりちゃんとしなさい。
・・・ほんとに、すみません。だれもそんな期待してないしね。ま、書こうと思うときに書いたらいいのよ、という温かい言葉もあったりして、本日に至ってしまいました。
実は、ご報告します。
私個人の生活基盤を三田市に移すことになりました。というよりこの１月末に移しちゃいました。
それが大体はっきり決まったのが昨年の5月。以来いろいろな準備を進める過程で、どうもレポートが書きにくくなってしまいました。この『武庫川散歩』は続けられる。それははっきりしているのですがどういうかたちにするかなぁと思いながら日が過ぎてしまいました。
実は、再び、ご報告します。
なんということか！、新しい住まいの場所は、おおなんと！武庫川のすぐそばなのです。武庫川は丹波地方を起点として三田市を縦断し宝塚市、西宮市、尼崎市と流れているのですが、新たな住まいがやっぱり武庫川沿い。なにか因果なものを感じます。
三田市は近年急激な人口増加をみた都市化への変化の激しいいわゆるベッドタウンです。丘陵地の斜面がすべて造成、整備されているように、武庫川もあますところなく河川管理されどこもかしこも人の手のはいっていないところはないという状況です。同じく河川工事されてはいても自然がそれをおおうかのようになっている下流地域（前の私の行動範囲）とは異なり、三田市の武庫川はコンクリートのにおいがプンプン。私としてはその現場をみるにつけ三田市よおまえもか、と胸やぶるる思いでした。
しかし、このような武庫川上流ではありますが、『武庫川散歩』はつづけていくことにします。下流のこれまでなじみの川原の様子も時にまじえながら、私のルーツともいえる武庫川をみつめていきます。それに、そう！文太が元気であるうちは散歩は必然ですからね！。
そんなわけで『武庫川散歩』、今後はすこし上流から発信させていただきます。これからもよろしくお願いします。
