1997/1〜3
『地面とたんぼ』:97/1/6 『１月１７日』:97/1/17 『聞かんといて』:97/1/21 『水はきれいか?!』:97/1/27 『挿し木』:97/2/8 動物 『むっしー』:97/2/14 『凍っとる』:97/2/24 『来し方』:97/3/4 『中州へ行きたい』:97/3/13 『彼の岸辺』:97/3/20 『小さきもの』:97/3/27
 武庫川散歩レポート 1996年 10月〜12月 |
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１９９７年が明けました
あけましておめでとうございます。新年が明けたのは、おめでたいけど
私は、正月元旦のお屠蘇のまえに、何の因果か、やはり文太と武庫川へ。
出会う人に、「正月もやすみなしやねぇ」といわれつつ.....。
お正月早々のレポートは「地面」について考えます。
武庫川は本来、水量は少ないですが川幅はある。
つまり、水の流れていない地面がたくさんあります。
そこに田んぼが作られているのです。
石ころが多いですが、それをごく丁寧にほうりだして、
6ｍ四方ほどの田んぼが、ずらり並んでいる。
ねぎや白菜、みずななど、今の季節のさまざまな野菜が
植わっています。
正式には、これはいけないことみたい。不法占拠にあたる(?)。
「川原での耕作は禁止」と看板に書いてある。
たんぼというのは、国の基盤ですから、
正規の農業にはすごい保護がされてる。
だから、
その保護の網が川の田んぼにかぶらないよう
さっさと撤退してもらわないと
ほっといたら、手厚い保護の網がかかってしまう。
そういうことなんでしょうかね。そやけど
ゴルフの練習と違ってあんまり迷惑に思わない。
畑をこえるとき、侵入するという感じになるのが、ちょっと「かなんなぁ」という位。
別に森林を伐採してるわけでなし、
そこにある地面を大事にしてはるわけやしね。（なんか急に関西弁になってる）。
でももし、川原で耕作してよろしいとなったら、わたしもしたいワ、という人がおるでしょうから
そこんとこが難しいね。
川原はいったいだれのもんか。
そーゆーことを考えたり言ったりしなくてはいけない状況になると
話がややこしくなる。
川原で田んぼや畑を作ってるひとが、
えらい武庫川に世話になってしもて．．．
みたいな気持ちを持っていたはったらいいなあ
と、思います。
きょうで、大震災から丸２年。
亡くなった方は6425名。
あの恐かったこと、辛かったことを思いだすと、戦慄をおぼえます。
少なくとも災害時に備えた心得を忘れずにおこうと思います。
それから、自分がもっと「その時」に役立つよう
日ごろからフットワークをよくしておこうと思っています。
きょう
WIDEプロジェクト主催の「第２回インターネット災害訓練」に参加しました。
武庫川の周辺に限って言っても、あの震災以来「災害復旧工事」の連続です。
従って、散歩コースも変化が激しく、現在も武庫川堤防へあがる道が工事で封鎖されています。 でも、別のルートで武庫川へは行けますが。
我家も工事中。全壊した家の跡にようやく今年の春完成の予定です。
工事、工事、工事。
工事がおわったら、きれいはきれいだけど、風景がすっかり以前と違ってしまうこともあり、 昔を懐かしむ気持ちがふくらみます。
考えてみたら、川は昔から何度も大きな地震に遭遇している（ハズ）。
地震翌日、武庫川堤防にあがってみたら、確かに地獄の入り口かと思える地割れが あちこちにありましたが、根本的に川は川のままで、壊れているのは人間が作った 橋脚（特に山陽新幹線橋脚）、コンクリート壁、護岸壁です。
人間がやることは実際ヤワいものなんだぁ。
一方、地震の翌日も、農家の人々は野菜の出荷に働いていました。
まわりの誰もが仕事できない状況でしたので、その姿をみて感慨を覚えました。 ゆれたのは確かに地面なんだけど、畑は全然変わっていない。
やっぱり、地面と直接くっついている部分を生活に残しておかんとイケン。
そう思いました。
独り言というものがあります。
ひとりでしゃべることですね。
私の場合、たとえ相手が犬でも一人ではないので、 独り言といえるかどうか問題ですが、彼(文太)は返事をしたり 相づちを打ってくれたりしないから
（ホントーはしてるけど、それを言うと「そうですか」といって 遠ざかっていく人もいるので、してないことにします）
結局、私がひとりで、
「きゃーあれだ・あれだ・あれだ・あれがそーなんよー」とか
「そりゃいかんよ、そーゆーことは許されない！」とか
「きみのウンコはすばらしい！」とか
いろいろしゃべりながら、歩いてるわけですね。
そうしてふと目を上げると、釣りおじさんが目の前に、という時があります。
ま、ちょっと恥ずかしいけど、むりに「おはようございます」なんて いって、ささっと通り過ぎることにしている。
問題は、怒っている時ですね。
誰がって、もちろん私が。
怒られているのは、もちろん文太です。
「んっもう！なにしてんのよぉっ！！、痛いやないの！ボン（文太のぶっとい胴体を 蹴る音）ボンッ！」
この蹴る姿がカッコ悪い。スタイルそのものもカッコ悪いし、
「抵抗しない弱者を虐待する飼い主の横暴」を絵に描いたように見える（と思う）。
こういう時に限って、ローちゃん（ビーグル犬）のお兄さんや、花ちゃん（シュナウザーの雑種）のママが 現れたりして、気まずい雰囲気が流れる。「ふ〜ん．．．」という顔を、犬もその飼い主もしている。
「ちゃうねん、悪いのはコイツ！コイツ！」
というのもナンだし。
文太は、心なしか、憂いに満ちた被害者顔を演出しているようにみえる。
「あぁ。もうしばらくは、この時間この道は通らないようにしよう。」トボトボ...
「もうぜーったい、蹴らない、あーカッコわるい！。あんたが悪いの！もぅ知らん！ きゃー恥ずかし!」などとぶつぶつ言ってるとまたシェリー（ハスキー犬）のおじさんとすれ違ったりして。
........
（このごろは、文太はいい子なので、ぜんぜん怒りません。はい。）
川の水を「きれい」とか「きたない」とか言いますね。
「透き通っている」とか「濁っている」とも言います。
こーゆーとき、当然「きれい」が○、「きたない」が×、
「透き通っている」が○、「濁っている」が×だよね。でも、毎日川に通っている者だから言えると思いますが（どーん、胸を張る音）、
そんな単純なモノとちゃう！。
濁ってるけど力強く「川だぁ！」と叫んでる時もあれば（誰がってモチ、川がです）、
澄んでいてもどことなくやる気なさそうで、ゴミもいろいろ浮かべてたりする時もある。
大雨の後は、川はとてもカッコ良く、川原のしぶとい木々に
どーだどーだと言わんばかりの奔流の後を見せ付けていたりする。
詳しく言えば、背丈ほどのところまで、流れの痕跡が残っています。
逆に、
天候の変化が無く、そーいえばもう2週間くらいこんな天気だよねー、という頃の川は
「やる気ナーシ!!!!」が丸見えで、
「どうせ流れつくとこまで流れるしかないのよ、人生はままならん（思い通りにならないのよね）。あるがままの自分があるがままの日々！」
みたいな声が聞こえてきそう。ま、それもいいと思うよ。
しかし、
「人生、投げたらあかん！君の人生は君だけのモンや！。夢を捨ててはだめだ！
わかったか？、がんばるんやでぇ！」と励ますおっちゃんがいたりして。
そして
「うん！。頑張る！
頑張って、海まで行くんや！。おいらの夢は大きな大きなタイヘーヨーやぁ!!」と、海を目指す若者がおるから、武庫川もなんとか川をやってられるのかも。
そっ！。川は海を目指すから川なんです！。
目的なくして存在なし！。
すばらしい。我ながら素晴らしい真理を発見！。
今度卒業式の挨拶（を要請されたら）に使おう！。
挿し木って、ごぞんじですよね。
めっちゃくちゃ簡単な植木の増やしかたです。
なんたって、折り取った枝を土に挿しとくだけ。簡単すぎる。
特に、「さつき」の挿し木してるとこをみると、
けなげな若芽がごろた石の中に突き立ってるだけ。
それってあんまりちゃう？
根を出そうにも石だらけじゃつらいでしょう。やっぱり柔らかい土でないと．．．．．。
それがちゃうらしい。
ホントはごろた石ではなく「鹿沼土」というれっきとした土らしいけど 完全にごろごろの石状態で根っこを出すんだそうです。
すごいね。
すごいし、なんとなくうれしい。
そういうふうに、増える力がうれしい。
なんか、得した気分になる。だれがって言われると困るけど．．．．．
さて、川原です。
川原の（本物の）ごろた石の上をあるいていると、
誰かが挿し木してる。枯れたような枝がぼーんと突き刺してある。
もち、そんなところで挿し木する人はいないから、
きのう誰かがここで遊んだんだなぁ。
なんて、
思ってると、
大間違い！。
生えてるんです。はえてます。きっちり。
川原の、どっからみても栄養なさそうな石と砂の中に、しっかり根をはって。しかしなんというさりげなさ！。
どっからみても、「子供が砂場で遊んだ後」という感じなのです。
実に頼りなげ。じつにいいかげん。作為的とさえ言える。
でもちがう。
作為でなくそれは、そう真実のすがたなのだ！
まるで、一見みすぼらしい枯れ枝のような老人、
しかし実は誰もが恐れるカンフーの達人だぁ！
なんて。あ、ちょっとちゃうかな。
とにかく、川原の草木には感心させられる。
このさりげなさで、そのまま成長した大物は、大雨の強水流にも耐えて
素晴らしくたくましい。
我が身の境遇の不運をありのままに受け留めて、えらいんだワ
たぶん、ホントのところ不満と愚痴は山とあるだろうけど
語らないことはうつくしいね！
う〜ん、しかし
風水に耐え、ごみをためた成木をみると、
幼ない木のこの先の苦労が忍ばれる。う〜っかわいそー
毎朝、ばか犬と共に現れるばか人間を笑ってくれ給え。
ひさびさの動物観察レポートです。
私は「むっしー」とか「むーちゃん」とか呼んでます。その正体は．．．．．． ．．．．．．すんません。まだわかりません。
また図書館で調べてきます。
釣りおじさんのいくつかのナワバリは水辺の小道でつながってるんですが
その小道を通ってるとき、突然文太が「ヒーヒー」言って引き綱を
引っ張り出したのです。
こうなるとヤッカイ。ヤツは力があるんだワ。
で、引っ張られてると、ちょっと先で「ドボン」と音がした。
あららぁ
と、
すぐ目の前の水面をよたよたと泳いでるモノがいる。
よた、よた、よた、よた、しながら、水辺から離れて行こうとしているソヤツを見た時
わたしは、「カワウソだっ！」と思った。
「ニホンカワウソ」は絶滅危機種。こんな簡単に
見つけられるハズがないと思いましたが、
武庫川というところは意外とあなどれない珍しい生き物がいたりするのですぞ。いずれにしろ、とにかくつい目の前に可愛らしい生き物が懸命に泳いでるのです。
少し変わった生態系をもっている、といつかの朝日新聞に載ってました。
ねずみにしては余りにデカイ！体長50センチはある。頭と背中以外は水面下だから、もっと大きかったかも。
もしかしたら二度と見られない珍しい生物かも！。
テキは一旦対岸目指して泳ぎはじめたものの、
体力の都合か、こちらの岸辺に何か心残りがあるのか、
しばらくしたら弧を描いてつい先の岸辺に戻ろうとしている！。
私はカメラを持っていたので「よーし！よしよし。戻っといで。君はいい子だ」。
と、独り言。
ところが、我がばか犬「文太」は、小賢しくもリターンの気配をすばやく感じ取って
引き綱をさらに引っ張る。
やめて！やめて！
文太はやめない。かの愛すべき君は一旦岸辺に戻りかけたものの、
憎き「飼われ犬」に脅されて、戻ってくることができない。
「ぶんちゃん、頼むからおとなしくネ、ネ、ネ」といってる先から、
文太はまた引き綱を引っ張り出す。
みると、一旦岸辺に戻りかけたのに、驚異の怪物（文太）に脅かされて
また、よたよたよた、よたよた、と流れの真ん中へ泳いで行く後ろ姿。
今度は下流の方だ！。でも私が思うより先に文太がハーハー言いつつ、綱をひっぱってる。
そういうことが数回続いて、とうとうあこがれの君は対岸目指して泳ぎはじめたのでした。
ごめん！。ゴメンネ！。
彼のよたよた泳ぐ後ろ姿を私は呆然とみつめていました。
もしかしたら、もう二度と会えないかもしれない。
涙、涙。
せめて
君の事を、武庫川のマスコット、「むっしー」と呼ばせてください！
ただし、あくまでひらがなの「むっしー」。
なぜって、なんとなくそんな感じなんだもん。
毎朝さむいですね。
北のほうでは、「シバレルネェ」というそうですが、
武庫川のワタシは「コォレルネェ」と言いたい。
「凍っとる」のはもちろん水なんだけど、その「凍っとる態度」が今日のテーマです。
バケツの中の薄い氷、泥水たまりの茶色い氷など、
よく知られてる｢氷の態度」のいくつかの他に、
武庫川の場合、
凍れる水草、とか、固まっちまった砂、とかのバリエーションがあります。
どっちも私は好きです。
好き嫌いはこの際モンダイじゃないって？。そうでしたね。
まず、
「凍れる水草」ですが、これはその名のとおり、凍っちまってる水草群です。
干上がりかげんの浅い岸辺にびっしりの水草。ただし枯れてます。
水草密度の高い水辺はどこまで岸でどこから川かわからない。
そいつが凍っちゃう！
そーすると、分かると思うけど、水草群はみーんなこっちのもの！。
ばり、ばり、といわせながら、水辺に進出できます。
ふわふわして、ばりばりして、いつズボッといくかわからないけど
こっちには、先行偵察隊が約1名。言わずと知れた文太ですね。
ブンは４０ｋｇはあるし、水濡れ大好きという頼もしい偵察隊員です。
そういうこともあって、この凍水草散歩はとっても快感触。
つぎに、固まっちまった砂ですが、
これは、川原のやや水気を含んだ砂が、かっちり凍っちゃう現象です。
川原は一面、砂、または砂＆ごろた石の状態です。
ここを走ったりするのは大変しんどい。
走るための踏み込む足がずりずりと不安定なので、
ここを走ってると「鍛える」とか「苦行」とかいう言葉が頭にちらちらする。
しかし！
この砂が凍って固まるとたいへんよろしい！。
とても踏み込みがしっかりして、我が動作がきびきびしてしまう。
川面に向かって一直線に走って行ける。
いつものヨロヨロ状態が急にしゃっきりする。
フッフッフと余裕の笑みさえ．．．．
というわけで、
さムーい朝の凍れる散歩は、実は、すきです。
気に入ってます。
武庫川の堤防にあがると一挙に空が広がります。
川の方へ道を渡って、だらだらとゆるい坂をおり、
古びたコンクリート護岸を下って川原へおります。
さらに、まっすぐ一直線に川原の石を走り越えて、水辺へたどり着きます。
水辺。
う〜ん、水だ、流れだ．．．。
いつもそこで気持ちの芯から納得して満足する。
毎日の事ですが、いつもそう。
風はだいたい川上から吹いていて、
流れを見たあとは
水の流れてくる、風のくる川上を眺めます。
そして．．．．
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」
といったことなんかを、考えていると思ったら大間違い。
たいていは、ボケーっとして、
頭の中は、あ、水、水、水、あ、鳥、鳥、あ、ぬるぬるぬるぬる（すべるー）、 こら引っ張らんといて、あ、ありんす、飛ぶかな、やや！ちめたいちめたい
といったようなことを、
思ってるのか声に出してしゃべっているのかさえ、定かでない。
自然と一体となっているということかしら。
．．．．．．
それにしても、
ぼーっとして川の水の来し方を見てると、
果てしなく水が流れてくることには、とても感動します。
「ゆく水」でなく「くる水」に感動する。
ずーっと流れて来続けてる。
頼りになるヤツだ、と思う。
一度、源流が見てみたい。
中州へ渡りたいと思ったのです。
流れのなかにある地面。
流れに囲まれた鳥の楽園。
岸辺に立ち、
文太といっしょに「くィ〜ん」。（「行きた〜い！」の文太語）
なんでかな。
なんで、行きたいのかな。
対岸よりも、中州がいい。
なんでかわからなくても、その気持ちははっきりしている。
- - -
私がひざまでのゴム長を履きだしたのは去年の初夏。
それまでは、トラサルディのテニスシューズなどを履いて、
一応カッコ(格好)も考えてた。
しかし、いつのまにか質実重視主義になり、
と、いうよりも、
本来の私がやっぱり出ちゃうんだよね。
どーせ汚れるし、ドーセ汗かくし、どーせぬれるし、おまけに、どうせコケル(転ぶ)し
えぇ〜い、カッコなんかかまってられるか！。
そのうえ、もう！ついでだぁ！、言ってしまうけど、
私は文太の引き綱を腰ベルトにつないでます。
つまり、散歩中、私と文太は運命共同体。君は僕、僕は君、の関係だ。
自慢やないけど、こんな散歩人(犬？)、私たちだけよ！
というわけで
なんだっけ、あ、そうそう、ゴム長。
ブンはどんどん水に入っていく。どんどん、どんどん、水に私を引きずり込むので
私は、釣り道具屋さんで、派手で長いゴム長を買いました。
中州へ行きたかったしね。
まるで渋めのウルトラマンのような色使いのゴム長です。
そして、
去年、流れの中をやっとこ中州にたどり着いた時は、うれしかった。
なにがうれしいって、前人未踏の地。あるのは鳥の足跡だけ。
砂がきれい。草木が元気。流水の音が生き生き。空気まで新鮮。
さらに、
流れに囲まれているから、
自分は動いてないのに、勇壮果敢に前進してるみたいな気がする。
希望に満ちた文明開化の風をうける坂本竜馬のようだ。
- - -
このところ、水が多くて、中州もご無沙汰でしたが、
そろそろ、
浅瀬もできて、ウッシッシ。
明日あたり、中州へいくかな。
〜「若草萌え染めし 彼の岸辺に立ち
君と語りたる 思い出懐かしき
されど 今 別れなん
また会う日まで
思い出しのびつ 君が幸 祈らん」
（このうたは、中学の卒業式で歌いました。 曲は讃美歌405番だそうです。）
今日はお彼岸の中日。私も先日、お墓参りをしました。
といっても、うちのお墓は歩いて3分。春のうららのちょっとした散歩．．．。
４年前の２月、父のお葬式に、「おくる言葉」をよんで下さったのは、
父の幼なじみのＴ氏でした。
Ｔ氏は父と同じ74歳。銀の硬髪。かくしゃくとした紳士の、
心に染みる一言ひとことに、私たちは心の底から感動し、涙しました。
『松田君、僕は忘れない。まだ幼い少年の夢を、武庫川の川原に寝転んで 君と語り合った．．．．
『流れる雲や、鳥の声や、せせらぎの音の中で、僕たちは色々な事を話した．．．
『松田君。君は先に逝ってしまうのか。
．．．．．．．
父は学徒出陣で結婚が遅く、私が覚えている父はすでに50歳に近いころで、
もう既に人生を悟ったような様子にみえました。
その父にも
幼い頃、武庫川の川原に寝転んで、心に浮かぶいろんな事を友と語り、
少年時代の幸福な時間が流れた．．．．．
私には思いもよらない、父の少年時代。
私は衝撃を受け、
今、突然の死に見舞われた父をあらためて本当にいとおしく思いました。
いまは亡き父の、私たちの知らない心の奥に、
少年時代に抱いた夢が、武庫川の景色とともにしまわれていた。
もう
問いかけることもできませんが
父の幸も苦も、武庫川と共にあったような気がしています。
春先には、「小さきもの」が出そろいます。
生まれたばかりの、小さくて、かよわく、清純で、可愛らしいもの。
木々の枝々にはつぼみ。
枯れた川原にもポッポッとささやかな緑の点景。
水辺は小さな草の芽が一面に。
まだ、これから、どーなるかわからない、いたいけな様子。
風にふるえています。
文太も、初めてやってきた時のその言い尽くせないほどの可愛らしさ。
周りの愛情を１２０％集めて、よちよちしてたんだよねぇ、君も。
わたしだって！
自覚はないけど、小さい時は可憐で可愛かったと思うんだけど．．．。
自然の法則から言うとそのはずなんだけど．．．．。
．．．．．。
ま、
いっか！。
問題は、その小さな子達が、一体どんな生育を遂げるか、であります。
桜のつぼみは桜の花になります。これは問題無し。わかりやすい。
枯れた草の茎の先についた爪のような芽は、あのでかいアジサイになります。
それもよーし。
私が問題にしたい、というよりも楽しみにしているのは、
川原と水辺に急に芽を出した数々の草の芽です。
どっからみても、野生化した大根にしかみえないアノ草は、いったい何物？。
あのヨーロッパの庭園の芝生かと思えるような一面の緑は、
あるものはシロツメグサにあるものはひっつき虫（草）に、
あるものは、．．．あるものは．．．．．
急に芽吹くから、いちいち観察できない。
でも
そこを歩いていると、無限の小さな成長の声が合わさって ウワ〜ンと交響楽のように聞こえる気がするのです。
何？
君はロマンチストだって？
きゃっ！ なんでわかるの？
とにかくですね、
私が言いたいのは、いろいろ「まぜこぜ」になってる、雑草の原がよろしいよってこと！。
とにかく、 いっぺん来てみはったらわかります。
なんか
ちょっと、照れくさい気がするので、きょうはこれまで。
