1998/1〜9
『川原畑』:98/1/7 『なつかしい氷』:98/1/21 『河川工事が』:98/2/15 『河川敷の変化』:98/3/15 『おこぼれ』:98/4/19 『流れた砂』:98/6/17 『パンのおじさん』:98/7/6 『トンボが多い』:98/8/9 『川にあきがくる』:98/9/3
 武庫川散歩レポート 1996年 10月〜12月 |
| 武庫川散歩レポート 1997年 1月〜 3月 |
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| 武庫川散歩レポート 1997年 7月〜 9月 |
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１９９８年となりました。
あたらしい年の武庫川。
時の流れに切れ目がないように、水も切れ目なくさりげなく流れ続けてます。
去年の武庫川のお正月はどうだったかなぁなどど考えていて、
最も変わったのは畑だ、と気づきました。
去年のお正月は、
地震後工事＆浄水場建設工事で、あちこち掘り返されていた地面がようやく静まった頃でした。
そのまえから、工事の人らしくないけど、釣竿も持っていない、ゴルフでもない、
もちろん犬も連れていない、という、
つまり、いってみれば「普通のおじさん」が
よく自転車に乗って川上に向かって走って行くのを見かけました。
「あっちに何かある！」
で、
まだ、行った事のない方向へ足を向けた。
そして、茂みを分けて、けものみちのような踏み跡をたどっていくと、おおなんと！
そこには幾枚もの畑、畑。
あの、「普通の自転車おじさん」は、わが畑の手入れに来ていた人々だった。
と、
ここまではだいぶ前にこのレポートで書きました。けど、
その後の畑の発展を考えると、このころは、まだ小規模だった。
畑地帯は、どんどん拡大成長した．．．
あぜ道が確立されてその脇に柵が出来る。
結構りっぱな道具小屋が立つ。
どこかしらから馬糞をトラック一杯運んでくる（仁川の競馬場か）。
肥料の発酵場所が出来る（古い衣装ケースが並んでいる）。
さらには、川から水を引くシステムができたり、
ペットボトルを利用したかざぐるま（「おどし」だと思う）がカラカラと音を立てる。
なんだか、「シムシティ」や「Ａ列車で行こう」をほうふつとさせるような、
めざましい発展でした。
と・こ・ろ・が！！
話しはこれで終わらない。
そう！。畑はひそかに絶え間なく増殖していた！。
始めは北のほうの、人が余り来なくて、 へたすると水につかる、というようなマイナーな場所に出来たのですが、 そうとう石が混ざっているようで、あぜ道にあたるところには、より分けた石が積み上げられていました。
それが、
だんだんに南に下がってきて、
この冬枯れの景色に結構目立つよ、という場所にも出来た。
しかしそれにしてもそれらは、いわゆる川原で、流れのすぐそばでした。
だから私が中段と呼んでいる、一段高い場所からはよく見えたのです。
ところが、
ついに出た！。
中段の草の中に４枚の畑。
あらぁ、なんか道ができてるなー、と思って入っていったら、
おっ！。
あの、草をかき分けて行って、ぱっと開けたとこにある畑って、なんか感動する．．．
さらに、
私が西丸さんと呼んでるサバイバル人間（そ、川原に家があるんだ！）のおうちの庭先にも！
これは、西丸さん本人が作ってるのかも。
とにかく去年、畑の拡大は、すごいパワーで進んだ。
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私の家の周りは、どんどん畑が減っている。
だれも農家を継がないからだ。
かく言う、うちだって、
母が家の裏で楽しみに作っている畑以外は、全部宅地になっちゃった。
駐車場にする、という親に反対できない子供たち。
自分がお百姓をできないからだ。
一方で、こうして、公共の（作っちゃイケナイかもしれない）場所に、石を取り除け、苦労して畑を作る人がいる。
ただ自分で食べるだけの分量を楽しみに作るだけでは、農家はやっていけない。
農業は職業だからね。
でも、見える景色から畑や田んぼが減っていくのはとても哀しい。
むずかしいね。
田んぼや畑が減ると、その間を流れていた用水路は、フタをされてしまう。
そうしておいて、別の場所の公園で、「ふれあいの水辺」なんて！。
そんなもんかな。
水や流れは別に人を必要としていない。
人が、水や流れを必要としているのだ。
武庫川で、コツコツいとなまれている小さな畑たち。
ながめていろいろ思うけど、
とにかく
あんまり広がって問題にならなけりゃいいんだけど．．．。
昔、学校へ行く道に、白い氷が張っていて、
それを踏みながら登校した。
薄い氷は、踏むと下の泥水がはねた。
パリパリ。シャリシャリ。ジャバジャバ。
水たまりの氷は、凍るときの具合からか、不思議な模様を持っていた。
それをぼお〜っと見つめてた子供のころ．．．。
夢の宇宙がそこにあった。その薄い白い氷の模様のなかに。
−−−−−
関東以北はすごい雪のようでしたが、こちら関西は、寒かったけど雪はなかった。
けれど、武庫川は寒かったぁ！。
流れていない水分はすべてカチンコチンに凍った。
つまり、水たまりはもちろん、土、草、流れのよどみ、
およそ水分のあるものは全部固まりましたね！。
でも、たとえば凍った土の岸辺は、
都会の舗装された硬い地面と違って、凍ってもジャリッと弾力がある。
そう．．．霜柱です。
わすれていた昔が、こんなところにある。
とても、とても懐かしい。
感触というもの。
ふしぎ。
映像はないのに感触がある。
かつては、自然と肌をくっつけてたのだ。
見る前にまず、触れた自然があった。
その記憶は突然、圧倒的な威力で脳裏によみがえる。すごい力で。
川は身近で最大の自然だ。
家の周りにはもう全く昔は残っていないけれど、
川に行けば、とても簡単に昔に戻れる。
その距離、時間にして５分。
これは、もしや、最高の環境じゃないか？！。
川は実はすごいやつだ。
都会の真ん中でも、もっとも最後まで自然を（昔を）残している。
川は「なつかしさ」の根元だ。
今や変わらないための必要エネルギーはすごく大きい。
変わるためのエネルギーより大きいんじゃないか。
だから川をだいじにする。
川のほうは、守られるなんて、ケッ！
と、思ってるかもしれないけど、 私としては、
あぁ！どーぞ！そのままでいてね！
かつて、サッカー部の男の子達の、その“きちゃなさ”がステキだったように
どうか、その、ぶあいそな様子が魅力なのですから、
どうか、そのまま、かっこよく！。
そんなきもち。
飾り立てない、“そのまま”がいいのです。
（きちゃない＝すっきりしてない、洗練されてない、泥つきイモみたい）
武庫川で、河川工事がはじまっています。
最初、その看板を見たときはショックだった。
なんか、無力感におそわれた。
その看板をみたのは１月のおわり。
ちょうど私がうろうろしている尼崎市西昆陽のあたりの河川が対象だ。
広い範囲じゃない。
でも、あの川原畑が最も繁栄している場所だったから、気分は複雑だった。
その日、
私が勝手に気に入っていた「ほったらかしの草原」にブルドーザーが入りました。
そしてあの川原畑の上を走りまわった。
畑の各所の看板で、あらかじめ予告されていたから、収穫するものは収穫された跡だと思います。
でもね、
見た感じは、力で弱い者いじめしてるみたいにみえたね。
心配は、いったい、どんな河川工事をするのかということ。
工事予告看板をみても、わからないのです。
ふつうの住民にわからないような言葉で書いてある住民向けの看板。
もっとも近くに住む人間に対しての看板とちゃうのですか？
ちょっとインネンを付けたくなる。
んでもって、私は気になるから、
毎朝、その該当エリアを散歩してます。
ヌートリアの「むう」君のことも気になるし、
お願いだから、人間にだけ快適な公園をつくらないでね。
川もその周りの自然も、人間のためにだけあるのではないから。
あー
このごろ、こんなことばかり書きたくなる。
武庫川はあいかわらずゆったりとのんびりと流れているし
もっと悲しい時代もあって、現在は少しづつ改善されているはずだし、
不足ばかりを見つけて、もんくの垂れ流しをしている「愚痴人間」にはなりたくないし。
武庫川の素敵な自然をレポートするはずが、
どうも偉そうな自然派的低レベル啓蒙文になってしまって、最近反省してます。
だけど気になるなぁあの河川工事。
河川工事がどうやら終わったようです。
看板では12月25日から3月25日までとあったけど、実際に工事が始まったのは1月の終わり頃だし、
きょうはまだ3月15日だけど、パワーショベルも1台だけしか残っていない。
川はいったい今どういう状況になっているかというと．．．．．
うーん。まず、
いわゆる護岸工事はされていません。
コンクリートは全然ナシ。
流れにたまった中洲などの土砂をガリゴリと削り．．．
流れの幅を広げるべく水際の土をごっそりと削って．．．
その削った土砂を
どこか、堤防脇などに持っていくのかと思いきや、
なんと、
ただ後退した水際部分、つまり、「川だけどちょっと高くてたまにしか水が来ない場所」へ積み上げただけ。
そもそも．．．
川といえども
の4つに分けられる。
１． 普段、水がながれているところ ２． 大雨が来た時もしかしたら浸かるかもしれないけど、
よく考えたらそこも川の中だ、というようなところ３． 堤防の内っ側だから、川ではあるけど、ほぼ水に浸かる心配はなく、
公園などになってたりするところ４． 堤防と同じ高さになっていて、
川側に張り出したようなかたちで建物が建っているところ
地面の高さは、１→２→３→４と高くなる。
今回の工事は、上の区分で言うと、「１」と、「２」の水際部分を掘り返して、その土砂を「２」へ盛ったというカタチだ。
もともと川にあったものは、減りも増えもしなかった。
私としては、川の土砂をどうせひっくり返すなら掘りとってしまって、増水に備えたらいいのにと思ったけど．．．。武庫川は天井川ですからね。
でも、そういうこととは別に、もとあったものを大切にした工事だった。
自然に生えていた柳などもそのまま残された。
なくなったものは−−
そう、なくなったのは、あの累々と広がる畑と、
一部のゴルファーが自分らの楽しみのために草を刈って作った「ミニゴルフコース」だ。
それから、
私が大好きだった水際の小道。
これこそが水辺というもんだという、葦や水草や土の水辺。
水面にのしかかるように育った落葉樹は残ったけど、
その下の、あの大きな魚が潜んでいた「よどみ」はなくなった。
流れのぐあいで出来たらしきとてもきれいな砂浜。
「むう」が棲んでいたらしき草場。
そういうものがなくなった。
今、全面的に茶色一色に変わってしまったこの工事跡。
残念なこともあるけど、よかった事もきっちりあるようで、
その効果がどうなのか、これからゆっくりわかってくると思います。
桜、きれいでしたね。
前回のレポートから一ヶ月以上が経過した．．．。
その間に、桜がふくらみ、
咲いて、咲いて、咲いて、
人々が宴会をし、
そして、
散って、散って、
地面は花びらで白く染まった。
今、もう、若葉の季節です。
去年も書いたけど、
この時期は変化が早く激しい。
そんな中、やっぱりすごいなとおもったのは、鯉。
６０cm位の大物が群れをなして浅瀬をさかのぼる様子は圧巻です。
深さが10cmにもならない石ころの浅瀬を水しぶきをあげながら泳ぎきっていく。
その力強さ、その本能の威力に、こちらは茫然とたちつくすだけ。
ただ数匹でも感動するのですから、
あの有名な鮭の回帰をもしみてしまったら、感動でひっくり返るかもしれない。
鮭が生まれた川に戻ってくることは、だれでもテレビで知っている。
でも、実際にその場所にいて知っているのとは全然ちがう。
そこには、
風がある、香り、というより匂いがある、音がある、
そして、なにより生きて種をつなごうとするものの命の勢いがある。
自分も同じ生き物として、そのパワーを肌で感じる。
電車から見たら、一瞬ですぎる川だけど、
じっと見詰めたらそこにとても重い、命の厚みがあることがわかる。
この季節、
どんどん成長する植物と、活発になった動物達の息吹がとても濃く、
毎日、めまぐるしく変わるその自然の力のおこぼれをもらいに、
毎朝、
せっせと武庫川に通っています。
お待たせしました、、、なんて、言っちゃっていいのかな。
「だれも待ってへん」よね。
ま、いい。
とにかく、私は殺人的忙しさからようやく（たぶん）開放されたのだから。
う．れ．し．い！
私は単純に嬉しい。
すんごくウレシイ〜！。
で、このお待たせした日々の、武庫川の姿は．．．．
そう、話しは河川工事が終わったころからだ。
工事は一言で言って「平らか」にした工事だった。
川底も、川辺(水が来ない所)も平らになった。
草木は確かにダメージを受けたけど、
いま、その平らの地面にありとあらゆる雑草の子供がひしめいている。
それが、めちゃかわいい。
でかくなったら、くそっこのやろ！とおもうような「つお〜い」ヤツも、
今はまだちっこいから、
ささやかにクローバーの隣でたよりなげにそよ風にふかれている。
よく考えたら、これって、なかなか見られない景色だ。
いま、工事の後の川原では、全員がヨーイドンの競争をはじめた。
猛々しい生き物も、子供の時は可愛らしいし、
やがて人の背丈以上に成長するものも、その足元でひっそり生きるものも、
どちらも今の芽出し頃は同じ大きさ。
それから、一つの種類の群生も見ごたえがある。
群生といってももちろん幼草の群生だけど、
このなーんにもなかった平面で、いったいどうたくらんで
群生という現象になるのだろう。
ムーミンにあったよね、ムニュムニュした白い棒状の子らの集団。
みーんなで同じ意志を持っていて、１は全体、全体は１、って感じ。
あんな感じで集団で存在をアピールしている。
そんなある日、まとまった雨が降った。
雨の後はいつも散歩が楽しみだ。
見慣れた流れが力強く勢いを増しているを見るのが好きで、
いつもちょっとわくわくしながら川へ急ぐ。
その朝も前日に結構降ったので、「ドンナンカナー」という感じで堤防を降りた。
「おぉ、すげーすげー、ぶんた、ほらスゲージャン」て、なんちゅう言葉づかいだと思いながらも、
でも、実際そう言いたくなるような水量で、
ほとんど盛り土部分まで上がった水面をみながら、川上へあるいた。
そして、工事の終了地点である堰堤の近くまで来たとき、
あっりゃー、ひゃー、という光景に行き当たった。
えぐれているのである。
堰堤のところの、工事できれい〜にした盛り土部分がごっそりＶ字型にえぐれている。
堰堤でせき止められた水の勢いが工事後ののやわな地面をぺろっとやったワケ。
しかし、恐ろしげな切り立った渓谷だ．．．．．。
結構、見てるとコワイ感じがするほどだ。
確かに「すげー」とは言ったけど、ここまで地面を流し去ってしまうほどの雨じゃなかった。
やっぱ、自然っちゅうのは、人間の思いどおりにはいかんもんぜよ。
見た目をきれ〜いにしても、しょせん人工だべ。
ちっとの雨でも自然をあまくみたらあかんっちゅうことだなや。
（でも、そやからゆうて、コンクリという奥の手をだしたらあかんのよね。）
ふと目を上げると、川の真ん中に、この水量でもわかる中洲が出来てる。
はぁ〜。
つまり、この、ここんとこのＶ字の土砂は、ごっそり中洲になったってか！
やるねぇ。
おとなしい武庫川もやるときはヤルやん。
工事があって、人間が一生懸命やってたから、しばらくはゆうこときいてたけど、
どーも具合がしっくり行かんし、
ちょっと変えさしてもらいましたし．．．すんまへんな。
あーーーすっとした。
そんな声が聞こえてきそう。
流れた砂も、やっと納まるとこへ納まったって感じ。
そういうことがあって、
流れで削れるところはきっちりえぐれて、
中洲はどんどん成長し、
緑も徐々に濃くなってきて、
工事跡の散歩も、ここんところ、いい感じになってきました。
きょうは、かの有名な「パンのおじさん」のお話です。
え、しらない？。
じゃ、「鳥のおじさん」では？
え？、知らない。知らないかなぁ、私と文太には有名、高名なんだけどねー。
「パンのおじさん」、別名「鳥のおじさん」は、自動車学校の先生です。
武庫川の堤防のうちっかわ（川側）が、ただの草木の生えた河川敷でなくて、
建物や施設があるってことは、前にもここに書いたことがあります。
その一つが先日オープンした動物愛護センターですが、
「パンのおじさん」の自動車学校はその北側に昔っからあります。
自動車学校の入口は当然、堤防に面していますが、反対の川側のフェンスにも小さな出入口があります。
この自動車学校に犬が飼われていて、そのワンちゃんを散歩させているのが「パンのおじさん」というわけです。
おじさんは川側のフェンスの出口から、犬と一緒に出てきて、川沿いを散歩しはるのですが、
それが、その様子が、普通の犬散歩人と違うのです。
どこが違うって、おじさんは足元に犬、頭の上空に数十羽の鳥を従えて散歩している。
鳥の種類は色々で、今はハトが多いけど、5月ごろまではカモメがメインでした。
トンビに似たカッコイイ鳥も混ざっています。
とにかく、おじさんが散歩していたら遠くからでもすぐ分かる。
空中に異様に鳥が集まって移動しているからです。
なんで鳥が集まっているかといいますと、おじさんは、花さかじいさんよろしく、
小脇に抱えた一斤の食パンをちぎり投げながら歩いているからなのです。
おじさんがいくつかにちぎったパンを空中にぱっと投げると、勝手知ったる鳥たちは「はいよっ」っとばかり空中でキャッチ。
なかなか見ごたえのあるショーでもあります。
「私もやってみたい」という気持ちにさせられます。
しかし、それは簡単に誰にでも出来る事ではない。
ちょっくらパンを投げて鳥を呼び寄せる事はできても、
「蚊ばしら」ならぬ「移動する鳥ばしら」を我が物にするには年期とデカイ一斤のパンが必要です。
そして、鳥に対する優しい心と。
パンのおじさんの「鳥ばしら散歩」はもうずいぶん続いていて、
それを待ち焦がれる鳥たちが早朝から自動車学校の建物の軒先でずらりとならんでいます。
おじさんは到着すると車からおもむろに一斤のパンを取り出す．．．。
普通の食パンなんですが、40cmはあろうかという「まるごとの一斤」は迫力があります。
たぶん近くのパン工場で毎朝買ってこられるのでしょう、出来立てのものすごくおいしそうなかおりがします。
そのまだほのあたたかいしっとりとした食パンを無造作にちぎっては投げちぎっては投げ．．．
なかなか、できることやない。
文太に会うと、これまた無造作に「がばっ」と6cmほどの厚みのパンをくれはるのですが、
そのあまりの芳香（出来たてのパンの匂い！）に文太も私も「ごっくん」。
当然、いただいたパンは文太と山分けということになります。
川原で食べる出来たてのパンの味はいやもう格別です。
おじさんは「文太に」と言って下さるのですが、
実際のところ
「文太待て！。主人の私が先よ。」などと主人風を吹かして横取りしているため、
パン欲しさが丸見えのような気がして、邪心ない顔をしておじさんに近付くのが、なんとなく出来難くなってしまって。
パンのおじさんは、とつとつとした語り口からも誠実な人柄がしのばれ、
あーだこーだと気を回す私だけが、なんか武庫川では場違いなような気がしたりするのであって、
その点、文太の真っ正直さはかえって好感が持てるんじゃないかと、
こんなところで、人付き合いのお勉強をしてしまうのでした。
今年はなんだかトンボがすごく多い。
草の多い水辺を歩いていると、大量のトンボが飛び回っている。
そのカラダをしっかり見ようとするけれど、なかなか止まっているところに注目できない。
ちょっと見た感じでは胴は赤っぽいけれど、あの「赤とんぼ（アキアカネだっけ？）」ほど真っ赤ではない。
思い出すに、川遊びをしていて何がイヤって、魚取りの網にトンボの幼虫ヤゴが入る事。
松の枯れ葉などに混じって、グニョ〜としっぽを持ち上げて動き回る様子は
ゴミの化け物みたい、悪魔の使いみたい、恐怖の毒サソリみたい。
別に人間を刺したり、噛んだりするわけじゃないのに、
このヤゴは嫌われ物だった（私にだけか）。
しかし、目指す獲物（フナなど）をより分けるために、このコイツを「えいやっ」とつかんで投げ捨てる。
ただただ気持ち悪くてじゃまな存在だった。
そのくせ、トンボは大好き。
オニヤンマや銀ヤンマを見つけたら「わぁあ〜っ」と叫んで追いかけた。
捕まえたらウシシッ！、自慢自慢自慢。
なんて勝手な子供だ。
だけど、
その緑の複眼をみつめてると不思議な気持ちになる。
なんとなく知能が高そうな気がする。
細長い胴もつややかに光って堅く、蝶のふわふわ胴とはきっぱりと異なる。
でも、胴のしっぽのほうはあまり見ないようにしたけどね。
なぜなら、その構造があのヤゴとの唯一の共通点だから。
とにかく、
今年は異常にトンボが多い。
これって、武庫川だけ？
あ、あ、あ、もう夏が終わる。いや終わった？
ふと気がつくと、もうセミは鳴いていない。
チロチロリリリリと、あれは松虫？コオロギ？よく知らないけど確かに秋の虫だ。
散歩の帰り道で、新学期に登校する小学生に会う。
見上げれば、わぁー！うろこ雲とすじ雲。
そういえば、夜明けはいやにひんやりしてた．．．．．．
うーん、暑い日々がイヤだイヤだと思ってきたけど、こうあっさりと、秋のアイテムを
次々と提示されると、もっと思い切りだらだらと夏の汗をかいておくのだった、と思う。
クーラーの日々を反省する。
キャンプに行かなかったし．．．
朝顔も夕顔も咲かせなかった（植えなかったからだけど）．．．．
文太のヤツも2回しか洗ってない（文太はうれしいかもしれないけど）。
暇な夏の間にしようと思っていた数々の仕事関連のコト、 そーです。何にもやってないぞ、ばかもの！。
それに、あぁそうだこのページは川のことだ。
去年は川を渡って、向こう岸に毎日のようにいってたのに、
この夏は、1回も行っていないよ。うーむ。
川には毎日感動してる。
川はすごい。飽きることはない。
でもね、その景色は去年と大きな変わりはないので写真、もっといえば、シャッターの指の力に感動がないんだな。
写真で切り取る絵は、私のあいもかわらない川への思いをうまく入れ込んでくれるかが、心配。
そんなこと、だれも求めてないさ、と思うんだけどね。
ちょっと、
いま、ひとつの波がきてるのだな。
日々の何かをページに、しんから素直にまっすぐにページ作りをしてきたつもりだけど、
そのことにも、こんな壁がある。
そんな日々を、この夏すごしてました。でも．．．
きょう、明石市に行く用事があって、帰りに阪急から武庫川を眺めることが出来た。
神戸からこっち、いくつかの川を眺めていた目に、武庫川はとても川らしい川に映った。
思っていたほど広くなかったけど、
でも、武庫川、いいねー。
おもわず深呼吸したくなるような緑に縁取られて、北の正面は北摂の山並み、
西は言わずとしれた六甲山脈と甲山。
これが武庫川かぁ、
そんな気持ちになりました。
今日はほんとに気持ちのいい秋晴れで、武庫川はとても美しく、
このところ感じていた「失った夏」という意識がやっと払拭できた気がします。
秋はいいなぁ。
